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ゼロトラストセキュリティとは?

ゼロトラストセキュリティ(ぜろとらすとせきゅりてぃ、Zero Trust Security、Sécurité Zéro Confiance)とは、「信頼しない」という原則に基づいたサイバーセキュリティの概念です。全てのアクセスリクエストを常に検証し、内部・外部を問わず、信頼できるものと見なさないことで、企業のデータとシステムを保護します。テレワークの普及に伴い、従業員が様々な場所からリモートでアクセスする環境において、ゼロトラストは重要なセキュリティモデルとなっています。

ゼロトラストセキュリティの定義と役割

ゼロトラストセキュリティは、企業のネットワークやシステムに対して「信頼するものは何もない」という前提に基づき、全てのアクセスを厳重に検証するセキュリティモデルです。従来の「境界型セキュリティ」では、企業のネットワーク内にいるユーザーやデバイスは信頼され、ネットワーク外からのアクセスだけが厳しく制御されていました。しかし、ゼロトラストでは、社内ネットワークも外部ネットワークも同様にリスクを伴うとみなし、全てのアクセスに対して認証・検証を行います。

テレワーク環境では、従業員が多様な場所から企業のリソースにアクセスするため、従来のセキュリティ手法では脆弱性が生じる可能性があります。ゼロトラストセキュリティを採用することで、常にアクセスの正当性を確認し、不正なアクセスやデータ漏洩のリスクを大幅に低減できます。これにより、リモートワーカーが安全に業務を遂行できる環境が提供されます。

ゼロトラストセキュリティの歴史と由来

ゼロトラストセキュリティの概念は、2010年代にジョン・キンダーヴァッグ(John Kindervag)によって提唱されました。彼がゼロトラストを開発した背景には、従来のセキュリティモデルが「内部は安全、外部は危険」という境界を設けていたため、内部での脅威に対応できないことが多かった点が挙げられます。この「境界型セキュリティ」では、信頼されたネットワーク内部に侵入されると、攻撃者が容易にシステムを操作できるという欠点がありました。

ゼロトラストの考え方は、こうした境界を持たず、内部のアクセスであっても常に疑い、検証することに重点を置いています。2020年以降、テレワークの急速な普及により、リモートアクセスをセキュアに保つために、ゼロトラストセキュリティの重要性がさらに増しました。企業は、従業員がどこからでも業務を行えるようにしつつ、システムの安全を保つために、ゼロトラストモデルを導入するようになりました。

テレワークにおけるゼロトラストセキュリティの使われ方

テレワーク環境において、ゼロトラストセキュリティはリモートワーカーがどこからでも安全にアクセスできる環境を提供します。具体的には、ユーザーやデバイスの認証に多要素認証(MFA)を導入し、アクセスリクエストが発生するたびにその正当性を確認します。また、アクセスしている端末やアプリケーション、さらにはユーザーの行動履歴に基づいたセキュリティ評価を行い、異常なアクセスが検出された場合には即座に対応します。

例えば、従業員が自宅や公共のWi-Fiから企業のシステムにアクセスする際、ゼロトラストセキュリティを導入することで、接続元のIPアドレスやデバイスの状態を常に監視し、不審なアクセスがないかをチェックします。また、業務に必要な最低限の権限だけを付与し、必要以上のアクセス権限を与えないことで、万が一侵入された場合の被害を最小限に抑えることが可能です。このように、ゼロトラストモデルはテレワーク時のセキュリティを大幅に強化します。

ゼロトラストセキュリティの利点

ゼロトラストセキュリティの最大の利点は、従業員がどこにいても企業資産へのアクセスを安全に管理できることです。テレワーク環境では、従業員が多様なデバイスやネットワークを利用して業務を行うため、ゼロトラストを導入することで、これらのすべてのアクセスをリアルタイムで検証し、不正アクセスを防ぐことができます。また、全てのアクセスが厳重に管理されるため、内部からの不正や誤った設定によるセキュリティリスクも軽減されます。

さらに、ゼロトラストモデルは柔軟な拡張性を持っており、企業が使用するクラウドサービスやSaaSアプリケーションにも容易に適用できます。これにより、企業全体のITインフラを一元的に管理し、セキュリティポリシーを全体に適用することが可能です。テレワークの増加に伴い、こうした柔軟で堅牢なセキュリティ体制がますます求められるようになっています。

ゼロトラストセキュリティの未来と重要性

今後、ゼロトラストセキュリティはさらに広く普及し、より高度なセキュリティ対策として進化していくと考えられます。特に、AIや機械学習技術を組み合わせたセキュリティ分析が進むことで、より効果的に脅威を予測・防止できるようになるでしょう。また、5Gの普及やIoTの拡大に伴い、企業が管理すべきデバイスやシステムが増加する中で、ゼロトラストモデルが不可欠な要素としてさらに重要視されることが予想されます。

テレワークが主流の働き方となりつつある現在、ゼロトラストセキュリティの導入は企業にとって避けては通れない課題です。従業員の生産性を高めながらも、外部・内部の脅威からデータやシステムを保護するために、ゼロトラストモデルは最適なセキュリティフレームワークといえるでしょう。今後のセキュリティ対策の中核を担うゼロトラストは、企業の持続的な成長とリスク管理において重要な役割を果たし続けることが期待されています。



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